小川泰明:参与観察を通して「はたらく」を生成する 〜転職を通して捉えなおした私の「はたらく」の意味〜

参与観察を通して「はたらく」を生成する ~転職を通して捉えなおした私の「はたらく」の意味

キーワード

1 オルタナティブな「はたらく」の見つけ方 2 日々の振る舞いから「はたらく」を生成する 3 求人情報に書かれていない「はたらく」を拾い上げる

参考文献

『実践 日々のアナキズム』,ジェームズ・C.スコット 著 , 清水 展 訳 , 日下 渉 訳 , 中溝 和弥 訳
権力や制度に対して個々人の自主性・自立性を発揮して望ましい社会を作っていくアナキストのアティチュード(態度)が、これからの社会における「はたらく」を考える上で重要な示唆を与えると考えたため

概要

昨年、新卒から8年半務めた会社を辞め、初めて転職を経験した。
新たな職場ではたらき始めて知覚する日々のモヤモヤ(違和感)。自分が思っていなかった「はたらく」が突然立ち現れ、揺さぶられ、身体に組み込まれた前職の文化や価値観に気づく。新たな同僚とともに手を動かすなかで知る「彼ら」の「はたらく」。「彼ら」と日々のさまざまな出来事に向き合い、喜怒哀楽を分かち合う。出来事の裏側に隠された意味や振る舞いを丁寧に観察し、毎日日記をつけることで生成された私の新たな「はたらく」。
わたしの「はたらく」には光があり、音があり、匂いがあり、手触りがある。
転職活動時だけ行う自己分析(身体性のない思考)や言葉のやり取りが中心となる面談・面接といったコミュニケーションで合意が形成されていく転職システムが見落とした私の「はたらく」を見つけ、拾い上げようとした3か月のフィールドワークの実践である。