弓指利武:ベンチの中でつくられる、選手たちの物語

ベンチの中でつくられる、選手たちの物語

キーワード

①草ソフトボールで展開されていること ②そこで交わされる会話と、その会話に秘められた意図 ③試合の勝利を超えた価値

参考文献

『会話を哲学する コミュニケーションとマニュピレーション 三木那由他著(光文社新書)』
会話は相手に届ける事だけが役割ではなく、見えない駆け引きや思惑の顔を持つ。それは、ベンチ内で展開される言動ともリンクする。意味と意図が交差する実態を、マニュピレーションと表現したこの文献によって分かりやすく炙り出したい。

概要

 組織やチームの状態を表す「風土」「雰囲気」とは一体何なのか。まるで具体的に手に取れない厄介な霞のようである。数多ある組織論を眺めたとて、今ここにある「風土」「雰囲気」は捉えきれない。もしや、そこで奏でられる言葉や仕草の一つ一つにヒントがあるのではないか。このテーマが生まれた事の発端である。  例えば創設20年を目前にする草ソフトボールチーム。選手達の言葉や仕草の数々が「風土」「雰囲気」を創出しているのではと仮説を立てる。試合中のベンチでの選手間の関係性や会話等を観察し、集う選手達はどんな場面で、どんな言動を起こしているのか。それは誰に向けられ、何を意味するのか。ベンチの様子を中心に、オフ会からもヒントを得つつ、交わされる言葉や仕草、秘められた意図の展開具合を、選手一人一人が内包する個々の背景と共に見つめたい。ベンチに座する選手間から聞こえる音、その動きの一つひとつに、物語があった。