メッシュワークゼミナール第3期「人類学的な参与観察によって問いをアップデートするトレーニング」
このゼミナールについて
みなさんがそれぞれの現場で向きあうテーマや問いは「既に設定されている」あるいは「外部から与えられる」ことが多いのではないでしょうか。そして、当初の問いそのものを疑う機会はなく、その後は答えを求めて邁進するのみという思考や枠組みが一般化しています。その一方で、このあり方に限界を感じ疑問を抱く声も多く耳にするようになりました。より深く人間や社会を理解しようとするのであれば、与えられた問いそのものを疑い、自ら問いを立てていく力こそが必要だからです。
では自分自身で問いから立ち上げていくにはどうすればよいのか。結論からいえば、それは一瞬にして立ちあがるものではなく、自身で立ちあげた当初の問いが、リサーチを進めるなかで徐々に変容していくのです。問いの変容は、より深いレベルで起きるほどに、自身のものの見方の変容と並行して生じるはずです。人類学ではその「問いのアップデート」のプロセスを、フィールドワーク=現場の参与観察によって行います。
本ゼミナールではこの人類学的アプローチによる「問いのアップデート」を「個別研究プロジェクト」として実践します。講師陣からのアドバイス、フィールドとの往還から生まれる気づき、参加者相互のフィードバックなどを通して、当初の問いを練りあげていきます。個人で半年間のプロジェクトを実施することで、対象に粘り強くかつ柔軟に向き合うことが可能になるとともに、それが自分自身の思考を鍛えあげることへとつながります。そのようなプロジェクトを成し遂げるという経験は、必ずその後の糧となるでしょう。
またプロジェクトの終わりには成果発表イベントを開催する予定です。その発表方法についても、報告書やスライドなど既存の形式にとらわれず、自由な表現方法を試してみましょう。私たちメッシュワークとともに、新しい人類学の試みに挑戦してみませんか?
参加申し込みはPeatixから
このゼミナールについて参加申し込みはPeatixから開催期間実施内容プログラムへの参加から期待できることプログラムの開催場所・参加費等スケジュール こんな方にお勧めします第2期ゼミ生の成果発表運営チームメッシュワークゼミ第3期に興味をもってくださるみなさまへお問い合わせcontact
開催期間
2024年8月〜2025年2月
実施内容
- 人類学的なアプローチに基づく個別研究プロジェクトの実施
このゼミの核となるのが、個別プロジェクトの実施です。各自で設定したテーマやリサーチクエスチョンを基に、フィールドワークや文献調査を行います。研究を進めるなかで初期の問いがアップデートされ、また対象への理解も深まっていくという重要なプロセスを、数ヶ月間をかけて学びます。
- 参与観察の基礎を学ぶフィールドワーク
8月に実施する合宿では、参与観察の基本を実践的に学び、複数のアプローチを柔軟に組み合わせながらフィールドワークを進める体験を得ます。
- 少数のメンバーによる濃密なディスカッション
少数精鋭のメンバーによるゼミでは、各々の発表に対する自由闊達なディスカッションが期待されます。自分の研究のみならず、他のメンバーの研究内容や手法を理解し、意見しあうことで、さらなる学びが得られます。
- 課題図書の精読
3冊の課題図書を各自で読み、それについてのディスカッションを全員で行います。リストには、古典的な民族誌からフィールドワークについての実践的な指南書までが含まれています。この精読で、その後に各自の研究関連文献へと読み進めていくための土台を築きます。
- 個別での研究相談
個人で研究プロジェクトを進めることは必ずしも容易ではなく、思い通りにいかない局面も訪れることでしょう。毎月オンラインで各1時間、個別に実施するミーティングでは、メッシュワーク比嘉がみなさんのその時々の研究相談に応じ、研究の推進をサポートします。
- 参加者同士のオンライン・対面の交流
オンラインゼミでのディスカッションだけでは話しきれなかった内容や、その時々に思いついたアイデアや文献の共有、個々の悩みの相談など、参加者同士の交流もこのゼミナールでは重要視しています。コミュニケーションプラットフォームDiscordやオンラインホワイトボードmiroなどを活用し、ゼミの時間外でも様々に交流ができるよう、環境を整えています。
- 得られた学びをアウトプットする機会
それぞれが獲得した学びはここでの共有にとどまらず、最終的には外部の方々をも招き、イベントの形で発表していただきます。発表する形式は、現時点ではまったく自由なものを想定しています。それはもちろん文章でも、あるいは映像や造形やパフォーマンスでも、みなさんが人類学的なアプローチで得た多様な学びを、ぜひ広く公開したいと思っています。
- ゼミ卒業生たちによるサポート
今回はメッシュワークゼミ第1期・第2期の卒業生たちがゼミにも伴走し、みなさんの研究報告やディスカッションを見守り、サポートしてくれます。実際に同じ道のりを経験した人たちだからこそできるフィードバックは、きっと具体的な手助けとなるでしょう。
プログラムへの参加から期待できること
- 与えられたテーマではなく、個々人で問いを立ちあげる経験を得ることができる
- 各自の問いをアップデートするプロセスを、他の人々と共有できる
- 人類学の基本を理解し、参与観察のアプローチを実践的に経験できる
- 人類学への関心を持った人々と深く議論し、相互に学びあうことができる
- プロジェクト成果を自由な形で表現できるようになる
プログラムの開催場所・参加費等
実施期間 | 2024年8月〜2025年2月 |
開催場所 | オンライン(Zoom) フィールドワーク実施地(参加者の地理的な状況に合わせ、第1回で決定します) Impact HUB Tokyo(発表会会場) |
申込期間 | 2024年7月29日(月)〜8月9日(金)23時59分 |
募集人数 | 8名 ※最小履行人数6名 |
参加決定通知 | 応募フォームの内容により選考します。 参加決定者には8月11日(日)までにメッシュワークよりメールいたします。 |
申し込み方法 | Peatixの申し込みフォームからお申し込みください https://peatix.com/event/4073519 |
参加条件 | Zoom、および対面でのセミナーが受講可能であること 全日程に参加が可能であること(※) 課題図書を準備できること ※日程調整が難しい方は考慮いたしますのでお問い合わせから「事前に」ご相談ください。 |
参加費 | 250,000円(税込) ※但し、フィールドワークでの交通費・食費・宿泊費や、課題図書費、成果発表時の必要資材費などは各自で負担となります。 |
参加費納入方法 | 銀行振込(参加決定通知の際に納入方法をご連絡) 参加費納入後は、理由の如何を問わずご返金を致しかねますので、ご理解の上お申し込みをお願いいたします。 |
課題図書 | 『人類学とは何か』ティム・インゴルド 著(亜紀書房) 『西太平洋の遠洋航海者』ブロニスワフ・マリノフスキ 著 (講談社学術文庫) 『フィールドワークへの挑戦―“実践”人類学入門』菅原和孝 編(世界思想社) |
修了証 | ゼミナール終了時にはメッシュワークによる修了証を発行いたします |
注意事項 | プログラム内容、スケジュール、会場は、講師の都合や他の事情で、変更となる場合がありますのでご了承ください。 |
備考 | 今回のプログラムはメッシュワークとして試験的な取り組みを多く含んでおり、皆さんとともに人類学の新しい地平を拓くことを目指しています。ゼミのプロセスやリフレクションの公開、各自でのSNSでの発信等にもご協力いただきますよう、よろしくお願いします。 |
スケジュール
日程 | 内容 | 場所 | 課題 |
---|---|---|---|
8月 | |||
8月9日(金) | 募集締め切り | ||
8月11日(日) | 選考結果通知予定 | ||
8月15日(木) | 受講料入金締め切り、参加者確定 | ||
8月17日(土)13:00-16:00(参加者の都合により変更可) | 参加者自己紹介、イントロダクション | オンライン | |
8月24日(土)〜25日(日) | 1泊2日でのフィールドワーク:参与観察の基礎を学ぶ | 対面(開催地未定) | |
8月31日(土)13:00-17:00 | フィールドワーク振り返り | オンライン | 課題図書精読 |
9月 | |||
9月14日(土) 13:00-17:00 | 課題図書のディスカッション | オンライン | |
9月28日(土) 13:00-17:00 | 課題図書のディスカッション | オンライン | プロジェクトテーマの選定 |
10月 | |||
10月12日(土)13:00-17:00 | 各自のプロジェクトテーマ案および初期段階の問いを発表、相互にレビュー | オンライン | |
10月13日(日) 13:00-17:00 | 各自のプロジェクトテーマ案および初期段階の問いを発表、相互にレビュー | オンライン | |
10月26日(土) 13:00-17:00 | プロジェクトの進捗発表 | オンライン | |
10月27日(日) 13:00-17:00 | プロジェクトの進捗発表 | オンライン | |
11月 | |||
11月9日(土) 13:00-17:00 | プロジェクトの進捗発表 | オンライン | |
11月10日(日) 13:00-17:00 | プロジェクトの進捗発表 | オンライン | 問いのアップデート |
11月30日(土) | 中間発表会(前半) | オンライン | |
12月 | |||
12月1日(日) | 中間発表会(後半) | オンライン | |
12月中 | 各自リサーチ期間、個別研究相談の実施 | 各自のフィールド、オンライン | |
2024年1月 | |||
1月中 | 各自リサーチ期間、個別研究相談の実施 | 各自のフィールド、オンライン | |
2月 | |||
2月上旬(2月1日〜2月9日予定) | 最終発表会 | Impact HUB Tokyo(対面イベント) |
※上記日程に加えて、一人ずつ、月に1回1時間の個別研究相談を行います(この予定は毎月のご都合に合わせて調整します)。
こんな方にお勧めします
- 人類学に関心があり、その基本と実践的なアプローチについて理解したい方
- 事業やプロジェクトを進めるにあたり必要な、問いの立て方を学びたい方
- 継続的なフィールドワークを通して問いをアップデートする経験をしたい方
- 個人で粘り強く思考し、運営チームや受講生とのディスカッションによってそれをさらに深めていきたい方
- 既存のプロジェクト設計やリサーチの進め方に疑問を感じ、新たな手法を模索したい方
参加申し込みはPeatixから
運営チーム
2人の人類学者がみなさんと一緒に伴走します。
人類学者。博士(人間・環境学, 京都大学)。合同会社メッシュワーク共同創業者。株式会社 Hub Tokyo顧問。
このゼミナールを通して、私自身もみなさんと一緒に試行錯誤しながら、濃密な時間を楽しみたいと思っています。基礎を大切にしつつ、実践的かつ実験的でもあるような新たな人類学の形を、ぜひ一緒に探索しましょう!
人類学者。修士(人間・環境学, 京都大学)。合同会社メッシュワーク共同創業者。
「問いをアップデート」することは、実はとても大変な道のりです。自分の「ものの見方」が覆される経験には、痛みが伴います。ただし、その経験からしか見えないことがあります。皆さんとともに、人類学の可能性を広げていくことを楽しみにしています。
メッシュワークゼミ第3期に興味をもってくださるみなさまへ
こんにちは。
メッシュワークというちいさな会社をやっています、比嘉夏子と申します。
この会社もようやく3年目を迎え、私たちの開催するゼミも3期目の募集を始めようとしています。この少数精鋭のゼミは、人類学的なものの見方や考え方を社会のなかに広げていくためのささやかな一歩として、あるいは凝り固まった世界に一石を投じるひとつの社会運動のような気持ちで運営してきました。
ありがたいことに毎年多くの方々の応募をいただきますが、定員は8名に限定しています。それはみなさんお一人ずつと丁寧にコミュニケーションを取り、ひとつひとつのプロセスに寄りそっていきたいからですし、受講生同士が互いのプロジェクトや考え方に対して率直なコメントをしあい、刺激を受けたり悩みを共有したりすることのできる濃密なコミュニティをつくれればという思いがあったからです。
普段の仕事も、それまでのキャリアも、住む場所も、趣味嗜好も、なにもかもが異なる人たちがここに集い、そして各々の興味関心を探るという人類学的な旅に出ます。同じ時期に旅をする愉快な仲間たちはいるけれども、旅そのものは一人旅です。その旅路を私たちは見守り、みなさんが迷子になりそうな時には(より正確に言うのであれば、「迷子になったみなさんを見かけた時には」ですが)一緒に深呼吸をして、もういちどあたりをよく見渡して、次の一歩をどう踏みだしていくのかを考えるお手伝いをします。
最初にお伝えしておくと、このゼミに参加する誰もが悩み、(少なくとも)1度は迷子になります。そして特に初期の時点では、多くの受講生たちには、フィールドに足を踏みいれることや、自分で問いやテーマを定めていくことへの怖れもあります。普段の自分なら声をかけない相手に話しかけてみたり、普段の自分なら足を踏みいれない場所に入ってみたり。それはたしかに、怖いかもしれない。けれど少しの勇気や好奇心に背中を押されるようにして、自分のコンフォートゾーンから一歩を踏みだすと、おのずと扉は開き、他者と出会い、状況に巻き込まれていくはずです。各々のペースで、各々のやりかたで、フィールドワークが進んでいきます。
これから半年間の濃密な旅は、決して楽しいことばかりではないでしょうが、この貴重な場で得られるのは「すぐに活かせるビジネススキル」のようなものではなく、「世界と出会いなおす経験」であり「より豊かに生きるための糧」のようなものかと思います。実際にどのようなことを行うのか、どんな体験なのかといった部分に関しては、ぜひ過去の受講生の修了レポートをご覧ください。どれも素晴らしい文章、ゼミの経験の言語化で、私は何度となく読みかえしました。
みなさんが全身全霊でゼミに向きあってくださるように、私も精いっぱい、けれど軽やかに、常にほがらかに伴走させていただきたいと思っています。さあ、また今年もゼミの旅がはじまります。みなさんとの出会いを、心から楽しみにしています。
お問い合わせcontact
ゼミに関するお問い合わせも、下記フォームからご連絡ください。
参加申し込みはPeatixから