メッシュワークゼミナール第2期「人類学的な参与観察によって問いをアップデートするトレーニング」

このゼミナールについて

みなさんがそれぞれの現場で向きあうテーマや問いは「既に設定されている」あるいは「外部から与えられる」ことが多いのではないでしょうか。そして、当初の問いそのものを疑う機会はなく、その後は答えを求めて邁進するのみという思考や枠組みが一般化しています。その一方で、このあり方に限界を感じ疑問を抱く声も多く耳にするようになりました。より深く人間や社会を理解しようとするのであれば、与えられた問いそのものを疑い、自ら問いを立てていく力こそが必要だからです。
 
では自分自身で問いから立ち上げていくにはどうすればよいのか。結論からいえば、それは一瞬にして立ちあがるものではなく、自身で立ちあげた当初の問いが、リサーチを進めるなかで徐々に変容していくのです。問いの変容は、より深いレベルで起きるほどに、自身のものの見方の変容と並行して生じるはずです。人類学ではその「問いのアップデート」のプロセスを、フィールドワーク=現場の参与観察によって行います
 
本ゼミナールではこの人類学的アプローチによる「問いのアップデート」を「個別研究プロジェクト」として実践します。講師陣からのアドバイス、フィールドとの往還から生まれる気づき、参加者相互のフィードバックなどを通して、当初の問いを練りあげていきます。個人で半年間のプロジェクトを実施することで、対象に粘り強くかつ柔軟に向き合うことが可能になるとともに、それが自分自身の思考を鍛えあげることへとつながります。そのようなプロジェクトを成し遂げるという経験は、必ずその後の糧となるでしょう。
 
またプロジェクトの終わりには成果発表イベントを開催する予定です。その発表方法についても、報告書やスライドなど既存の形式にとらわれず、自由な表現方法を試してみましょう。私たちメッシュワークとともに、新しい人類学の試みに挑戦してみませんか?
 

開催期間

2023年9月〜2024年3月

実施内容

  • 人類学的なアプローチに基づく個別研究プロジェクトの実施
このゼミの核となるのが、個別プロジェクトの実施です。各自で設定したテーマやリサーチクエスチョンを基に、フィールドワークや文献調査を行います。研究を進めるなかで初期の問いがアップデートされ、また対象への理解も深まっていくという重要なプロセスを、数ヶ月間をかけて学びます。
  • 参与観察の基礎を学ぶフィールドワーク
10月上旬に実施する合宿では、参与観察の基本を実践的に学び、複数のアプローチを柔軟に組み合わせながらフィールドワークを進める体験を得ます。
  • 少数のメンバーによる濃密なディスカッション
少数精鋭のメンバーによるゼミでは、各々の発表に対する自由闊達なディスカッションが期待されます。自分の研究のみならず、他のメンバーの研究内容や手法を理解し、意見しあうことで、さらなる学びが得られます。
  • 課題図書の精読
3冊の課題図書を各自で読み、それについてのディスカッションを全員で行います。リストには、古典的な民族誌からフィールドワークについての実践的な指南書までが含まれています。この精読で、その後に各自の研究関連文献へと読み進めていくための土台を築きます。
  • 個別での研究相談
個人で研究プロジェクトを進めることは必ずしも容易ではなく、思い通りにいかない局面も訪れることでしょう。メッシュワーク(比嘉・水上)との毎月のミーティングでは、個々人のその時々の研究相談に応じ、みなさんの研究推進をサポートします。
  • 参加者同士のオンライン・対面の交流
オンラインゼミでのディスカッションだけでは話しきれなかった内容や、その時々に思いついたアイデアや文献の共有、個々の悩みの相談など、参加者同士の交流もこのゼミナールでは重要視しています。コミュニケーションプラットフォームDiscordやオンラインホワイトボードmiroなどを活用し、ゼミの時間外でも様々に交流ができるよう、環境を整えています。
  • 得られた学びをアウトプットする機会
それぞれが獲得した学びはここでの共有にとどまらず、最終的には外部の方々をも招き、イベントの形で発表していただきます。発表する形式は、現時点ではまったく自由なものを想定しています。それはもちろん文章でも、あるいは映像や造形やパフォーマンスでも、みなさんが人類学的なアプローチで得た多様な学びを、ぜひ広く公開したいと思っています。
 
 
 

プログラムへの参加から期待できること

  • 与えられたテーマではなく、個々人で問いを立ちあげる経験を得ることができる
  • 各自の問いをアップデートするプロセスを、他の人々と共有できる
  • 人類学の基本を理解し、参与観察のアプローチを実践的に経験できる
  • 人類学への関心を持った人々と深く議論し、相互に学びあうことができる
  • プロジェクト成果を自由な形で表現できるようになる
 

プログラムの開催場所・参加費等

実施期間2023年9月〜2024年3月
開催場所オンライン(Zoom) フィールドワーク実施地(参加者の地理的な状況に合わせ、第1回で決定します) Impact HUB Tokyo(発表会会場)
申込期間8月8日(火)〜8月19日(土)24時
募集人数8名 ※最小履行人数6名
参加決定通知応募フォームの内容により選考します。 参加決定者には8月28日(月)までにメッシュワークよりメールいたします。
参加条件Zoom、および対面でのセミナーが受講可能であること 全日程に参加が可能であること(※) 課題図書を準備できること ※日程調整が難しい方は考慮いたしますので「お問い合わせ」からご相談ください。
参加費250,000円(税込)  ※但し、フィールドワークでの交通費・食費・宿泊費や、課題図書費、成果発表時の必要資材費などは各自で負担となります。
参加費納入参加決定通知の際に納入方法をご連絡いたします。 参加費納入後は、理由の如何を問わずご返金を致しかねますので、ご理解の上お申し込みをお願いいたします。
課題図書『人類学とは何か』ティム・インゴルド 著(亜紀書房) 『西太平洋の遠洋航海者』ブロニスワフ・マリノフスキ 著 (講談社学術文庫) 『フィールドワークへの挑戦―“実践”人類学入門』菅原和孝 編(世界思想社)
修了証ゼミナール終了時にはメッシュワークによる修了証を発行いたします
注意事項プログラム内容、スケジュール、会場は、講師の都合や他の事情で、変更となる場合がありますのでご了承ください。
備考今回のプログラムはメッシュワークとして試験的な取り組みを多く含んでおり、皆さんとともに人類学の新しい地平を拓くことを目指しています。ゼミのプロセスやリフレクションの公開、各自でのSNSでの発信等にもご協力いただきますよう、よろしくお願いします。
 
 

スケジュール 

日程ワークショップ内容場所課題
8月
8月19日(土)募集締め切り
9月
9月16日(土) 13:00-17:00参加者自己紹介、イントロダクションオンライン課題図書精読
9月23日(土) 13:00-17:00人類学の基本についてレクチャー、課題図書のディスカッションオンライン
9月30日(土) 13:00-17:00課題図書のディスカッションオンラインフィールドワーク準備のためのリサーチ開始
10月
10月7日(土)〜 10月8日(日)1泊2日でフィールドワーク:参与観察の基礎を学ぶ未定(対面)各自のプロジェクトテーマを決める
10月14日(土) 13:00-17:00各自のプロジェクトテーマ案および初期段階のリサーチクエスチョンを発表、相互にレビューオンライン
10月28日(土) 13:00-17:00プロジェクトの進捗発表オンライン
10月29日(日) 13:00-17:00プロジェクトの進捗発表オンライン
11月
11月18日(土) 13:00-17:00プロジェクトの進捗発表オンライン
11月19日(日) 13:00-17:00プロジェクトの進捗発表オンラインリサーチクエスチョンのアップデート
12月
12月9日(土)中間発表会オンライン
12月中各自リサーチ期間、個別研究相談の実施各自のフィールド、オンライン
2024年1月
1月中各自リサーチ期間、個別研究相談の実施各自のフィールド、オンライン
2月
2月中各自リサーチ期間、個別研究相談の実施各自のフィールド、オンライン
3
3月最終発表会Impact HUB Tokyo(対面イベント)
※上記日程に加えて、一人ずつ、月に1回1時間の個別研究相談を行います(この予定はご都合に合わせ調整します)。
 

こんな方にお勧めします

  • 人類学に関心があり、その基本と実践的なアプローチについて理解したい方
  • 事業やプロジェクトを進めるにあたり必要な、問いの立て方を学びたい方
  • 継続的なフィールドワークを通して問いをアップデートする経験をしたい方
  • 個人で粘り強く思考し、運営チームや受講生とのディスカッションによってそれをさらに深めていきたい方
  • 既存のプロジェクト設計やリサーチの進め方に疑問を感じ、新たな手法を模索したい方
 

運営チーム

2人の人類学者がみなさんと一緒に伴走します。
人類学者。博士(人間・環境学, 京都大学)。合同会社メッシュワーク共同創業者。株式会社 Hub Tokyo顧問。
このゼミナールを通して、私自身もみなさんと一緒に試行錯誤しながら、濃密な時間を楽しみたいと思っています。基礎を大切にしつつ、実践的かつ実験的でもあるような新たな人類学の形を、ぜひ一緒に探索しましょう!
人類学者。修士(人間・環境学, 京都大学)。合同会社メッシュワーク共同創業者。
「問いをアップデート」することは、実はとても大変な道のりです。自分の「ものの見方」が覆される経験には、痛みが伴います。ただし、その経験からしか見えないことがあります。皆さんとともに、人類学の可能性を広げていくことを楽しみにしています。
 
 
 

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